はじめに
「AWS 無料枠」で検索すると、「12か月間、EC2が無料」といった昔の説明が今も多く見つかります。しかし、AWSは2025年7月15日に無料枠の制度を変更しており、新しくアカウントを作った場合は、従来とは仕組みが異なります。古い情報を前提に使い始めると、思わぬ請求や、アカウントが閉鎖されるといった事態につながりかねません。
この記事では、AWS公式ドキュメント(2026年9月時点)に基づいて、新しい無料枠の仕組みと、課金を防ぐための設定をまとめます。
この記事で分かること
- 無料枠の制度が、アカウントの作成日によって2種類あること
- 新制度の「無料プラン」と「有料プラン」の違い
- クレジットの仕組みと、無料プランが終了したときの動き
- Always Free(常時無料)とは何か
- 課金を防ぐための予算アラートの設定など、4つの習慣
結論:アカウントを作った日で制度が分かれる
AWSの無料枠は、アカウントを作成した日によって次のように分かれます。
| アカウントの作成日 | 適用される制度 |
|---|---|
| 2025年7月15日以降 | 新制度:サインアップ時に無料プランか有料プランを選ぶ |
| 2025年7月15日より前 | 従来の無料枠(Always Free・12か月無料・短期トライアル)を引き続き利用 |
「今からアカウントを作る」という方は、新制度が適用されます。以下では、まず新制度を説明し、そのあとで従来の無料枠についても触れます。
新制度の全体像
無料プランと有料プランの違い
新制度では、アカウント作成時に2つのプランのどちらかを選びます。公式ドキュメントの比較をもとに整理すると、次のとおりです。
| 項目 | 無料プラン | 有料プラン |
|---|---|---|
| サインアップ時のクレジット | 100米ドル分 | 100米ドル分 |
| 追加で獲得できるクレジット | 最大100米ドル分 | 最大100米ドル分 |
| Always Free(常時無料)のサービス | 利用できる | 利用できる(短期トライアルも対象) |
| 利用できるサービス | 一部のサービス・機能 | すべてのサービス・機能 |
| 料金 | 発生しない | クレジットを超えた分は従量課金 |
| クレジットを使い切ったとき | アカウントが閉鎖される | 閉鎖されない |
| 他のプロモーションクレジット・割引 | 対象外 | 対象 |
無料プランは、公式に「課金が発生しない」と説明されているプランです。一方で、期間や使えるサービスに制限があります。
クレジットの獲得方法
クレジットは、合計で最大200米ドル分を獲得できます。
- サインアップ時:100米ドル分(どちらのプランを選んでも付与されます)
- 追加のクレジット:Amazon EC2、Amazon RDS、AWS Lambda、Amazon Bedrock、AWS Budgetsの5つのアクティビティを完了すると、それぞれ20米ドル分(最大100米ドル分)
クレジットの残高や期限は、AWSの請求とコスト管理のコンソールで確認できます。
無料プランが終了するとどうなるか
無料プランは、「6か月が経過したとき」または「クレジットを使い切ったとき」のどちらか早いほうで終了します。終了すると、次のように動きます。
- アカウントが自動的に閉鎖され、リソースやデータにアクセスできなくなる
- AWSは、アカウントとすべてのリソースを完全に削除するまで、コンテンツを90日間保持する
- この90日以内に有料プランへアップグレードすれば、アカウントへのアクセスを維持できる。無料プランの残りのクレジットは、以降の請求に自動的に適用される
「無料だから」と学習用に作ったアカウントの中に大切なデータがある場合は、終了のタイミングを見逃さないことが重要です。無料プランの期限やクレジット残高について、AWSからメールでの通知も届きます。
無料プランの制限と、有料プランへの自動切り替え
公式ドキュメントに記載されている、無料プランの主な制限は次のとおりです。
- クレジットを消費しかねないサービスや機能(Savings Plans、リザーブドインスタンス、一部のAWS Marketplaceの提供内容など)は利用できません
- 他のプロモーションクレジットや割引の対象になりません
- 次のような操作をすると、自動的に有料プランに切り替わります:AWS Organizationsへの参加、AWS Control Towerのランディングゾーンの設定、AWSパートナーネットワークへの参加、プロフェッショナルサービス契約の作成、エンタープライズ契約への加入、AWS Skill Builderのチームサブスクリプションの購入、アカウントをHIPAAまたはSECのコンプライアンス対象に指定
無料プランで利用できるサービスの一覧は、公式のAWS無料利用枠のページで確認できます。
有料プランへのアップグレード
無料プランのアカウントは、AWSマネジメントコンソールにサインインして、プランのアップグレード画面(Upgrade plan)から有料プランに切り替えられます。有料プランでは、すべてのサービスを使えるようになり、クレジットを使い切ってもアカウントは閉鎖されません。その代わり、クレジットの残高を超えた分は、通常の従量課金として請求されます。
Always Free(常時無料)とは
無料プラン・有料プランのどちらでも利用できるのが、**Always Free(常時無料)**です。公式ドキュメントでは、30以上のAWSサービスに、月ごとの無料利用の上限が設けられていると説明されています。
AWSの無料利用枠の追跡機能でAlways Freeとして扱われているサービスには、たとえば次のようなものがあります。
- AWS Lambda
- Amazon DynamoDB
- Amazon CloudWatch
- Amazon SNS(Simple Notification Service)
- Amazon SQS(Simple Queue Service)
- Amazon CloudFront
- Amazon Cognito
- AWS Step Functions
無料で使える上限(リクエスト数や容量など)はサービスごとに異なり、変更されることもあるため、正確な数値は公式の無料利用枠のページで確認してください。
2025年7月15日より前に作成したアカウントの場合
2025年7月15日より前に作成したアカウントは、従来の無料枠のプログラムがそのまま続きます。従来の無料枠は、次の3種類に分かれていました。
- Always Free(常時無料):毎月の上限内であれば、期限なく無料で使えるサービス
- 12か月無料:アカウント作成から12か月間、無料で使える枠
- 短期トライアル:サービスごとに決められた期間だけ試せる枠
ネット上の古い記事で「12か月無料」と書かれているのは、この従来の制度の話です。新しくアカウントを作った場合は当てはまらないので注意してください。どの枠でも、上限を超えた分は通常料金が請求されます。
課金を防ぐ4つの習慣
1. 自分のアカウントの状態を確認する
無料プランのアカウントでは、無料プランの有効期限、クレジットの残高、残りの日数を、AWSマネジメントコンソールのホーム画面などで確認できます。有料プランでは、請求とコスト管理のコンソールのクレジットのページで、クレジットの残高と有効期限を確認できます。
2. 無料利用枠の使用量アラートを確認する
AWSには、無料利用枠の上限の85%を超えた時点で、サービスごとにメールで知らせる「無料利用枠の使用量アラート」があります。個人のAWSアカウントでは、このアラートは自動的に有効になっています。
- 通知先は、アカウント作成時のメールアドレス(ルートユーザー)です
- 通知先を変えたい場合は、請求とコスト管理のコンソールで、設定の中にある請求設定(Billing preferences)の「アラートの設定(Alert preferences)」から編集できます(日本語表示では、画面上の名称が異なる場合があります)
- AWS Organizationsの管理アカウントでは、自動では有効にならないため、自分でオプトインする必要があります
3. 「支出ゼロ予算」を設定する
さらに確実に見張るために、AWS Budgetsの「支出ゼロ予算」テンプレートを使う方法があります。無料利用枠の上限を超えた支出を監視し、超えた場合に通知してくれます。
公式ドキュメントに記載されている手順は、次のとおりです。
- 請求とコスト管理のコンソールを開く
- ナビゲーションペインで「予算」を選ぶ
- 「予算を作成」を選ぶ
- 「テンプレートを使用(シンプル)」を選ぶ
- テンプレートの一覧から「支出ゼロ予算」を選び、テンプレートの詳細と設定を確認・更新する
- 「予算を作成」を選ぶ
無料プランのアカウントは、公式に「課金が発生しない」プランなので、必須ではありません。有料プランに切り替えたアカウントや、従来の無料枠のアカウントでは、設定しておくと安心です。また、AWS Budgetsの利用は、前述のクレジットを追加で獲得できる5つのアクティビティのひとつとして、公式に案内されています。
4. 使わないリソースは削除する
学習でEC2インスタンスやデータベースなどを作ったら、使い終わったタイミングで削除する習慣をつけましょう。特に、有料プランに切り替えた場合や、従来の無料枠のアカウントでは、放置したリソースがそのまま請求につながります。
無料枠でAWSを学ぶには
無料枠を上手に使うには、料金がかかるリスクを把握したうえで、順番に手を動かすのが確実です。当ブログでは、課金リスクの目安を明記した無料のハンズオン記事を、難易度別にまとめています。
👉 【保存版】AWS実践ハンズオン記事まとめ|サーバーレス・インフラ・AIを難易度別に完全網羅
コマンドでAWSを操作する準備は、次の記事で解説しています。
👉 AWS CLIのインストール方法|Windows・Mac・Linux対応の最新手順と初期設定【2026年版】
学習の順番から知りたい方は、ロードマップの記事も参考にしてください。
👉 AWS学習ロードマップ|未経験から始める独学ガイド【無料ハンズオン+Udemy講座の組み合わせ方】
また、「まずAWS全体を体系的に理解してから手を動かしたい」という方には、AWSの主要サービスを一通りカバーする大型の講座があります。
👉 【SAA-C03版】これだけでOK! AWS認定ソリューションアーキテクト – アソシエイト試験突破講座(Udemyで確認)
評価4.1(30,198件のレビュー)、受講者は約17万人、52時間52分・462講座の大型講座で、2026年9月にも更新されています(2026年9月26日時点)。資格の取得が目的でなくても、AWSの全体像をつかむ教材として使えます。
まとめ
AWSの無料枠は、2025年7月15日を境に制度が変わりました。新規のアカウントでは、従来の「12か月無料」ではなく、クレジットと2つのプランを組み合わせた仕組みになっています。
- 制度:2025年7月15日以降のアカウントは新制度、それ以前は従来の無料枠を継続
- 新制度:サインアップ時100米ドル+追加で最大100米ドルのクレジット。無料プランは6か月またはクレジット消費で終了し、アカウントは閉鎖される(90日以内なら有料プランへアップグレード可能)
- Always Free:30以上のサービスに月ごとの無料上限があり、どちらのプランでも使える
- 課金対策:使用状況の確認、無料利用枠の使用量アラート、支出ゼロ予算、使い終わったリソースの削除
なお、この記事の内容は2026年9月時点の公式ドキュメントに基づいています。無料枠の条件やクレジットの額は変更されることがあるため、アカウントを作る前後には、AWS公式の無料利用枠のページで最新の情報を確認してください。
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